
コロナの影響が続く2021年6月、再び人手不足の問題に直面している会社が増えてきています。
「ホントに?ウチの業界はまだまだ採用どころじゃないんですけど。。」
という方もいらっしゃるかと思います。
採用市況ではコロナ禍で人手不足の業界、人手が余っている業界、影響が少ない業界とかなり業界や職種によって偏りがあるようです。
そこで、この記事では一般公表されているデータや数字を踏まえて、人手不足の業界の傾向や要因、そして、企業人事の方が取り組める5つの人手不足解決策についてご紹介します。
この記事はこんな人にオススメです!
・採用における業界の課題を把握したい
・人材不足を解消する方法が知りたい
・自社に合う採用手法を見つけたい
目次
教育サービス業などを中心に人手不足感が高まっている

まず、事実の確認から始めましょう。
医療業界は人手が足りず逼迫しているとか、物流業界もEC需要が伸びて忙しい、といった話を耳にすることがありますが、実際のところはどうなんでしょうか?
厚生労働省が毎月月末に発表していル有効求人倍率のデータを見てみましょう

▼一般職業紹介状況
令和3年4月の有効求人倍率は1.09倍で、前月に比べて0.01ポイント低下。
令和2年4月が1.30倍だったことを考えると、まだコロナ前の水準には戻っていません。
前月に比べて伸びている業界で見ると、
- 教育,学習支援業(43.6%増)
- 製造業(32.8%増)
- 生活関連サービス業,娯楽業(25.2%増)
- 学術研究,専門・技術サービス業(24.2%増)
地域別で見ると、最も高いのは福井県の1.84倍。最も低いのが沖縄県の0.78倍となっています。
また、yahooニュースにも紹介されていた帝国データバンクのデータを見てみます。

▼人手不足に関する企業の動向調査2021年
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20210526.php
このデータでは正社員、非正社員にわけて、1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月度と比べ、2021年4月度の人手不足を感じている企業数は増えていますが、2019年の水準には戻っていません。

ただ、リーマンショック時からの時系列での推移を見ると、「不足」割合はそれなりに高い水準にあるようです。
また、同じ帝国データバンクさんの資料の中で業種別の状況も紹介されています。

このデータによると正社員の求人で人手不足が多いのは
- メンテナンス・警備・検査(55.6%)
- 教育サービス(55.6%)
- 建設(54.5%)
- 情報サービス(54.1%)
と警備、建設、ITなど慢性的に人手不足の業界で再び求人需要が高まっています。
一方、非正社員の求人では
- 飲食店(50%)
- 教育サービス(46.2%)
- 各種商品小売(45.2%)
と求人を控えていた接客業で再び人手不足感が高まっていることがわかります。
教育サービスが伸びているというのは、色々な業界の企業にご提案している我々にとっても意外でした。
一時的に求人募集・採用を抑えていた業界で再び採用が盛り上がってきている傾向が読み取れますね。求職者の方にとってはこういった業界を意識して仕事探しをされると良いかもしれません。
では、続いて解決策をご紹介する前に、改めてなぜ人手不足が起こっているのか?というその要因について考えてみます。
人手不足が生じる4つの要因

解決策を考えるためには、人手不足の要因をまず確認する必要があります。
当たり前のことですが、人手不足ということは【仕事量>作業リソース】ということです。
では、なぜそのようなことが生じているのでしょうか?
①時期的な要因
1つ目は時期的な要因。
たとえば、ワクチン接種のコールセンターの需要で数百人規模の求人を出している企業があります。また、何か大きなプロジェクトが入って、一時的に仕事量が大きく増えている会社もあるかと思います。
②地域的な要因
2つ目は地域的な要因です。
有効求人倍率を見ても、非常に高い倍率の地域もあれば、比較的低い倍率の地域もあります。また、緊急事態宣言が発令されていたエリアは仕事量が減っているけど、そうではないエリアは仕事量が多く、比較的忙しいということもあるかもしれません、
③配置的の要因
3つ目は人員配置の要因です。
ある部署では仕事量が多いけれど、他の部署は仕事量が落ち着いている、というケースです。たとえば、倉庫を持つ物流部門は忙しいけれど、マーケティング部門は時間に余裕があったり。また、複数の事業をおこなっている会社では、事業によって差が生じているかもしれません。
④組織的な要因
4つ目が組織的な要因です。
たとえば、ある部署で退職者が出たり、採用がうまくいかないため人手不足になっているケースです。また、コロナの影響で従来の働き方やマネジメント手法を大きく見直す必要に迫られている企業もあるでしょう。こういった環境整備が遅れてしまうと、採用率や定着率に大きく影響することが考えられますね。
以上の4つのうちどの要因で人手不足が起こっているのかにより、解決策の方向性も変わってきます。
人手不足改善に向けた5つの解決策

もしかしたら、人事採用担当の方の立場では現場から
「とにかく人が足りないから採用してくれ!」
と言われているケースもあるかもしれません。私たちインビジョンは採用支援を行っている会社なので、そういったサポートは大得意。ウェルカムです。
しかし、安易に人を採用して、仕事量が減ったからやっぱり人を減らそう、なんてことは簡単にできませんよね。
そこで、ここでは採用するだけではない、5つの改善策をご紹介します。
解決策①業務の棚卸し
人手不足=仕事量>作業リソース、というのが人手不足の根本原因です。であるならば、受ける仕事量の上限を決めてしまえば人手不足にはなりようがありません。
そのためには、受けるべき仕事の基準と断るべき仕事の基準を決めて社内で共有する必要があります。仕事量を減らして、現状の作業リソースに合わせるということですね。
店舗であれば営業時間を調整したり、入場制限をしたり。WEBマーケティングなどをおこなっている場合には広告費やプロモーション費用を抑えることで調整できるかもしれません。
ただ、多くの企業では現実的に仕事を選べるほど余裕がない場合もあると思います。その場合、次の改善策を検討してみましょう。
改善策②自動化・効率化
オンライン化や自動化により業務効率を高めることで、人手不足を解消することもできます。コロナ禍の業務効率化として、AI、DX(デジタルトランスフォーメーション)が話題になっていますね。
Googleトレンドでも、DXというキーワードの検索数はここ一年でじわじわと増えているのがわかります。

ただし、従来の業務フローを変更したり、新たなツールを導入する場合には社内の協力が必要不可欠になります。
また、DXは単なるデジタル化ではなくビジネス自体の変革であるともいわれています。事業全体を見渡せるポジションの責任者がリーダーシップを発揮して、外部の専門パートナーに相談しながら進めることをオススメします。
改善策③アウトソース
自動化もできず、人の手によってやらなければいけない業務の場合には業務の外部委託を考えてもよいかもしれません。外部への委託には業務委託、アウトソーシング、人材派遣など様々な契約体系があります。
また、最近ではクラウドワークス、ランサーズなど優秀なフリーランスの方に仕事を依頼できるプラットフォームも充実しています。また、他の企業に勤務している人材に副業として自社の業務を手伝ってもらうこともできます。外部パートナーと良好な協力関係を築くことは、人手不足解消に向けて非常に重要になってきますね。
改善策④内部調達を考える
人を採用する際に、すぐに外部から新しい人を採用するのではなく、まず社内の他部署にいる適切な人材を異動することによって調達できないかを考えます。
複数地域で拠点展開している場合には、同じポジションで転勤をしてもらうことが考えられるかもしれません。
また、たとえば未経験からでも受け入れが可能なポジションであれば、営業職からマーケティング職への異動といったジョブチェンジを行うこともできるでしょう。
内部調達を通して新しい職場に就いた人は、既に自社のビジネスや仕事の進め方に対しての理解があります。社内の雰囲気にも馴染んでいるため、新規で採用するよりもスムーズに結果を出せる可能性が高いのが特長です。
もし部署間での異動やジョブチェンジ、社内公募が可能な状況であるなら、人手不足解消のため内部調達を検討してみてはいかがでしょうか。
もちろん、本人の希望や適性を考えた上で行わないとトラブルや、逆に生産性を下げる要因にもなりかねませんので従業員への説明と配慮も必要になります。
改善策⑤外部からの採用
自動化もできない、外部委託もできない、という仕事は自社で誰かがやらなければいけません。当然、人手が足りなければ新しい人を外部から採用することになると思います。
しかし、苦労して無事に入社してもらえても、不本意な離職が多ければ、いつまで経っても人手不足の状況は変わりません。採用の前に、今いるスタッフに長く働いてもらって、一定以上の定着率を維持できるような組織をつくる必要があります。
そのために効果的なのは、インナーブランディングを推進して長期的なビジョンを共有したり、一人ひとりの社員がやりたい事を会社の仕事の方向性をすり合わせたりすることも大切です。
直近の採用活動のために求人広告や人材紹介を活用することももちろん大切ではあります。しかし、もし御社が慢性的な人手不足に陥っているなら、そもそもの採用力を上げていくために採用ブランディングに取り組むことをオススメします。
なぜなら…
採用力=企業力×募集条件×採用広報
という公式ができあがっているからです。

この3つは掛け算であり、企業力と募集条件はそう簡単に変えることができません。そのため、多くの企業では採用活動に人事の方のリソースの多くを割いています。
ただし、どれだけ一生懸命広報活動をして、応募者対応をおこなっても、採用力は掛け算なので改善には限界があります。そのため、最近では時短勤務やリモートワークの導入、給与や待遇の改善に取り組む企業も増えてきました。
しかし、企業力を高めるために投資している会社は非常に少ないのが現状です。
企業力は会社の規模や認知度、ブランド力によりつくられます。この部分は私たちインビジョンの得意とする部分ですので、ブランディングまで視野に入れた採用力UPに取り組んでいこうとお考えであれば、ぜひお問い合わせください。
長期的な採用力UPのためDXやブランディングに取り組みましょう

人手不足の状況を数字やデータを元に振り返り、要因と改善策についてまとめると次のようになります。
- コロナ禍に求人をストップしていた教育サービス・飲食・小売などの業界を中心に再度募集している企業が増加
- 人手不足には、時期・地域・配置・組織的な4つの要因が考えられ、それぞれの要因に合わせて、業務の棚卸し、自動化、アウトソース、内部調達、採用といった解決策がある。
- 慢性的な人手不足の場合には、新規採用の前に、定着率改善・採用ブランディングなどに取り組むのも効果的
インビジョンとしては、人手不足→採用しましょう→広告を出しましょうというのが必ずしも正解ではないと思っています。むしろ、人手不足に困っている企業の多くが、実はブランディングに課題を抱えているケースが多いように感じます。
短期的な採用活動と並行して、長期的に採用力を高めるための活動についてもこの機会に取り組んでみてはいかがでしょうか?そのためのヒントを今後もセミナーやブログでご紹介していきますので、ぜひ今後も末永くよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。