
「新しい職場の同じ部署のあの人と絡みづらい」
「新しく採用をしたいけど、今のチームに合う人を採用したい」
「人間関係で悩んでいる社員がいるので、助けてあげたい」
最近働いていて、こんな思いを抱いたことはありませんか?
厚生労働省の統計によると
平成28年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者39.2%、新規大卒就職者32.0%
という結果が出ています。
参考:新規学卒就職者の離職状況
- 仕事が思っていたものとは違った
- 給与に不満があった
- 休みたいのになかなか休めなかった
などさまざまな退職理由はあるとは思いますが、やはり「人間関係のもつれ」からそういった不満が次々に沸き上がってくるのではないでしょうか?
本記事では、そんな方にぜひおすすめしたい「ソーシャルスタイル理論」についてまとめました!
この記事はこんな人にオススメです!
・ソーシャルスタイル理論について知りたい
・仕事は好きだけど人間関係で悩んでいてどうにかしたい
・社内を良い方向へ体質改善していきたい
目次
そもそもソーシャルスタイル理論とは
「ソーシャルスタイル理論」とは1960年代初頭、2人の産業心理学者、デビッド・メリル氏とロジャー・リード氏によって提唱された理論です。彼らは経営やリーダーシップ、販売のパフォーマンスを予測できないかと考えました。
そこでアメリカの心理学者、バラス・F・スキナー氏の行動主義心理学をもとに、人々の行動をリスト化し人々が社会的な状態でどのような行動をするのかを調査しました。
そして人間の行動が
- 自己主張
→他者に「尋ねる」行動から「伝える」行動 - 応答性
→自己主張の後「自分の感情を表現する」「自分の中で感情をコントロールする」
この2つの連続体で成り立っていることに気が付きます。この2つの連続体から4つの行動パターンを定義したものがソーシャルスタイル理論です。
ソーシャルスタイルを用いて診断するには、いくつかの質問に提示された選択肢で答えます。
<質問例>
Q.あなたは…
事実的側面を重視するタイプ?
周りの意見を尊重するタイプ?
Q.周りに注意をする際
単刀直入にものを伝えるタイプ?
ソフトにオブラートに伝えるタイプ?
など。どんな方でも手軽に診断可能です。
ソーシャルスタイルを活用するメリットとは
ソーシャルスタイルを活用することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
自己理解ができる
ソーシャルスタイルで診断をすると
「自分の普段の考え方」
「自分と相性が合う人、合わない人」
がわかります。それを理解すると
「自分はこうするとモチベーションが上がる」
「だから自分はこう言われるとモヤモヤしたんだ」
という気づきが生まれます。
ふとイラッとしたときに原因が分かるので気持ちを落ち着かせやすくなります。
「あ、自分がイラッとするいつものパターンがやってきた…よし、10分くらい休憩しよう」
という具合に、落ち込んでしまう前に対策が取れます。
他者理解ができる
自分以外のソーシャルスタイルのタイプを理解することで
他人の行動パターンや思考パターンが読めるようになります。
社内には誰しも一人は苦手な人っていますよね…?
でも、ソーシャルスタイルを知っていると波風立てずに攻略できます。
「あ、たぶん今この人、こう考えてるな。じゃあ私はこうしてみよう。」
と心のなかで冷静になれるのです。
これは営業する上での提案力や交渉力のアップにも貢献します。
チームビルディングに役立つ
例えば、どんどん人材が増えていき新たなチームが生まれるようなベンチャー企業がソーシャルスタイルを活用すると
- リーダーに適した人
- データ分析に適した人
- 営業に適した人
- カスタマー対応に適した人
のようにチームを組んでいく上での、その人の適正がわかります。
他にもオフィスのデスク配置に応用してみるのも面白いかもしれません。
ソーシャルスタイルを活用するデメリットとは

そんなソーシャルスタイル診断にもデメリットはあるのでしょうか?
その時、その環境によってタイプが変わる
ソーシャルスタイル診断を受ける時期、その環境によって結果は変わってきます。前の会社では「一人で奔走するタイプ」だったけど今の会社では「周りとの協調を大切にして物事に取り組むタイプ」になった、ということももちろんあります。
1度受けた診断結果はもちろん大切ですが、もし環境がガラッと変わったのなら再度診断を受け直してみるのも良いでしょう。
ソーシャルスタイル・4つのタイプ

ソーシャルスタイルは4つのタイプを提唱しています。
- ドライバータイプ
→一人でつっ走るリーダー的存在 - アナリティカルタイプ
→データ1つ1つから適切な判断を下す - エクスプレッシブタイプ
→周りを巻き込んで盛り上げていく存在 - エミアブルタイプ
→相手の気持ち、周りとの協調を大切にする
そしてそれぞれのタイプの相性ですが、上の図を参考にお伝えすると
- 同じタイプ同士:相性抜群
- 上下左右に位置するタイプ同士:相性まあまあ
- 対角線上に位置するタイプ同士:相性悪い
このように提唱されています。
例えばエクスプレッシブタイプ(盛り上げ型)はアナリティカルタイプ(論理型)と相性が悪い。しかしドライバータイプもしくはエミアブルタイプが間に入ることでその相性の悪さが緩和される。…このような具合です。
ちなみにこの後の4つのタイプ紹介の部分では、「このタイプはこの職業が向いている」というような表現をしていますが、あくまで目安であり「必ずしもそのタイプでないとその職業に就いてはいけない」というものではありません。
ソーシャルスタイルの話になると「会計士やシステムエンジニアはアナリティクスタイプ、営業はエクスプレッシブタイプでなければならない」というように言われることがあります。しかしイギリスのTRACOM社の調査で「50%以上の人が一つのソーシャル・スタイルを持っている職業はない」ことがわかっています。例えばシステムエンジニアの約37%がアナリティクスタイプであるという調査結果がありますが、残りの53%は他の3つのスタイルのいずれかを持っていることになります。すべてのタイプの人がどのような職業でも成功できることを忘れないでください。
ではそれぞれのタイプの特徴と交流方法をご紹介します。
ソーシャルスタイル:ドライバータイプとは
ドライバータイプの特徴
- 四字熟語で表すと「単刀直入」
- 好き:「効率的」「成果」
- 嫌い「無駄」「他人からの指図」
- つねに冷静で感情を表に出さない
一言で表すなら「会社にいる怖い人」かもしれません。ドライバータイプは、起業家やリーダー的な立場に向いていると言われています。
とにかく何でも一人でこなしてしまうパワーを持っています。そして典型的なタスク指向のため、効率を考えた結果「誰かに任せるくらいなら自分でやったほうが早く、かつ上手くできる」と言う結論に至り、他人の感情にはほとんど関心を示しません。
効率的で結果を重視するため個人的な関係を犠牲にする、という妥協点を取ることも。
ドライバータイプの欠点は、他者の意見・ニーズに耳を傾けない点です。孤独を好むため、もしそれに対応しようとすると不本意な行動をしてしまったりストレスが溜まってしまいます。
ドライバータイプとの接し方
- 仕事上では「遠回しなクドい話」をしない
- 持論だけではなく根拠や理論を伝える
- 「なぜこれは○○なのか教えて下さい!」
例えば会議で1人10分の発表時間を設けられたとき、その10分を超えた人をドライバータイプは評価しません。無駄をとにかく嫌います。ドライバータイプには「持論+根拠・理論」を的確に伝えるだけで十分なのです。また、その根拠や理論がしっかりしていなければつっ込まれますので気をつけてください。
またドライバータイプは勉強熱心だったり、頑張っている人が好きです。そのため質問をしてみるのも良いでしょう。(ただし「何をしたいのか」をはっきり伝えないと、これまたつっ込まれます。)
ソーシャルスタイル:アナリティカルタイプとは
アナリティカルタイプの特徴
- 四字熟語で表すと「用意周到」
- 好き「論理」「マイペース」
- 嫌い「リスク」「即断即決」
- 情報収集に時間をかけ慎重に物事を進める
一言で表すなら「研究者」でしょうか。アナリティカルタイプはマーケティングやシステムエンジニアに向いていると言われています。なにか決断をするタイミングでは、決定的な事実に基づいて判断を下します。
感情のコントロールが上手いため、基本表には気持ちを出しません。彼らにとっては正確な事実、論理が全てなので時には冷酷な判断を下すこともあります。
アナリティカルタイプの欠点は、結論が出るまでに時間がかかることです。ものごとの確信が掴めるまで意見を述べる意欲が出てきません。つまり即断即決を求められることは彼らにとって、とてもストレスになるのです。
アナリティカルタイプとの交流方法
- 熟考したいタイプ、時間の猶予をあげる
- 独特の価値観や雰囲気を理解する
- 「今すぐの返事じゃなくてOK」
アナリティカルタイプはリスクをとにかく嫌います。数ある選択肢の中でリスクが無い選択をさせる場合、時間の猶予をあげてください。「1週間後のミーティングで○○があるから、意見をまとめておいてくれますか?」というように事前に伝えると喜ばれ、彼らのモチベーションも上がります。
またアナリティカルタイプは独特の雰囲気を持っている方が多いとされています。感情を表に出さず、自己主張もしないため”独特の雰囲気をしている”と思われてしまう、というのが正しいかもしれません。彼らが集めるデータは正確なものばかり。上手く付き合うことで良いビジネスパートナーになるでしょう。
ソーシャルスタイル:エクスプレッシブタイプとは
エクスプレッシブの特徴
- 四字熟語で表すと「喜怒哀楽」
- 好き「ノリ」「チャレンジ精神」
- 嫌い「論理」「真面目」
- 感情豊か、周りを巻き込み場を盛り上げる
一言で表すなら「明るい太陽」でしょうか。エクスプレッシブタイプは社交的なので営業担当やエンターテイナーが向いていると言われます。また、周りを巻き込むカリスマ性も持ち合わせているためリーダー的存在にも合っています。
エクスプレッシブ(Expressive=表現力豊かな)の名の通り、いつも元気で明るくチャレンジ精神が旺盛。一緒にいるだけでこちらも元気になれる、パッと見ただけで「あ、この人エクスプレッシブタイプだな」とわかる感じです。堅い言い方をすると「自己主張が強く、目的を達成するために感情を使う」タイプです。
エクスプレッシブタイプの欠点は、その場の「ノリ」と「感情」で行動するため、そこに「端的な、衝動的な浅さ」が見えてしまったり、「いかにもこちらを操作しようとしている」ように見えてしまう点。また、仕事の相談をするとその場は盛り上げてくれるのですが最終的にこちらが言いたいことが全く伝わってない、なんてことも。
エクスプレッシブとの交流方法
- ノリ良く一緒に盛り上がる
- 聞き上手なインタビュワーになる
- 「○○さんといると楽しいです!」
エクスプレッシブタイプと交流する際はとにかく「ノリ」を大切にしてください。
「え!?そうなんですか!?」「○○さんすごいです!」とノリよくテンポよく反応するだけでは喜んでくれる可能性があります。
人を元気づけるのが大好きなエクスプレッシブタイプに心を救われる人は数多くいることでしょう。ただし、エクスプレッシブタイプは直感的に動くので、そのノリの良さに惑わされず、論理的におかしい部分があればしっかりとつっ込むことが大切です。
ソーシャルスタイル:エミアブルタイプとは
エミアブルタイプの特徴
- 四字熟語で表すと「共存共栄」
- 好き「協力」「縁の下の力持ち」
- 嫌い「意思決定」「客観的な事実」
- 周囲の変化に敏感、困っている人を助ける
一言で表すなら「ジグソーパズルの1ピース」でしょうか。エミアブルタイプはカスタマー対応やカウンセラーが向いていると言われます。
エミアブル(Amiable=愛想の良い)の名の通り、人間関係を第一に考えます。何よりも人への気遣いを大切にし、互いの感情を共有し、他人に自己主張しないことに熱心。徐々に関係を構築し、維持するよう努めます。日本人に一番多いタイプとされます。
相手のふと見せる表情や声色の変化にも敏感に察知し、声をかけてくれます。仕事でも「助けてください!」といえば寄ってきてくれるような、たまにはお菓子を交換し合ったりするような、そんな癒やし系のタイプです。
エミアブルタイプの欠点は、自分だけでは意思決定ができない点です。周りの意見が自分の意見になるため、場を乱すような人物が現れるとストレスがたまります。また、これまで気づきあげてきた人間関係が壊れることを恐れることから、環境の変化をとても嫌います。
エミアブルタイプとの交流方法
- 「共感」を重視する
- どんどん押したり自己を強く主張しない
- 「〇〇さんのお陰で助かりました!」
仕事で忙しくしていると「手が空いているから〇〇のタスク、やろうか?」と声をかけてくれるのがエミアブルタイプ。もし助けてもらったら感謝の意を表しましょう。メモ書きでこっそりメッセージを伝えるのも効果的。
エミアブルタイプの人はとにかく思いやりがあり、優しく、その分変化に敏感です。ストレスが溜まっていてもなかなか口には出さないため、たまには1対1でじっくり話し合うのも良いでしょう。
ソーシャルスタイル診断をするには
ソーシャルスタイル診断をするにはどうすればよいのか簡単にまとめます。
ネット上の診断サイト
会社単位ではなく、まず自分がソーシャルスタイルでどのタイプに当てはまるかチェックしてみることをおすすめします。
★ソフィア ヒューマン キャピタル株式会社様
http://kazupc.com/s-style/ (PC版)
http://kazupc.com/s-style/k/ (携帯版)
診断結果を普段の自分と照らし合わせてみてください。
きっと、納得できるポイントがいくつも出てきますよ!
ミツカリ(mitsucari)
もしネット上のソーシャルスタイル診断で興味が出てきたら
株式会社ミツカリ様のサービスからより深い診断を受けることをオススメします。

このようにネット上の診断のように単に4つのタイプで診断されるのではなく
- アナリティカル寄りのドライバータイプ
- エクスプレッシブ寄りのエミアブルタイプ
のように詳細なグラフで結果を教えてくれます。
またその会社の特徴と一人ひとりを照らし合わせて相性が良いのかどうか、も診断できます。
果たして求職者が自社に合っているのかどうかを事前に判断する材料として、採用の現場で取り入れてみてはいかがでしょうか?始めは5人まで無料で使用可能。 一番安いプランでは2000円/人から利用できますよ!
ソーシャルスタイルとは人生を、仕事を楽しくしてくれるもの
簡単にソーシャルスタイルについてまとめると
- ソーシャルスタイルとはアメリカの産業心理学社が提唱したもの
- ソーシャルスタイルとは4つのタイプに分けられる
- 自己理解、他者理解、チームビルディングと多方面で活用できる
今回はソーシャルスタイルを普段のビジネス上で当てはめた場合でお話しましたが、日常生活から何から応用できるのがソーシャルスタイルの強みです。
メリット部分でもお伝えしていますが、ソーシャルスタイルを理解すると「ふと我に返る、冷静になれる時間」が生まれ、余裕が出来ます。
ご家族から、友人から、スーパーの店員さんから「あの人は○○タイプかな?」と思考を張り巡らせてみることから始めてみましょう。
ソーシャルスタイル診断を含め、組織の体制作りや見直しを相談したい!という方はこちらからお問い合わせください。