
この記事では採用プロセスについて説明します。
人事関連の書籍や、情報の中でよく目にする「採用プロセス」というキーワード。
プロセスとは、工程や過程という意味ですが、採用プロセスとはどういう意味なのか?
どうやって活用するのか、その設計方法から効果までご紹介します。
この記事はこんな人にオススメです!
・採用プロセスについて正しく理解したい
・自社の採用プロセスを見直して成果につながる採用活動がしたい
・具体的な採用プロセスの見直しポイントが知りたい
目次
採用プロセスとは?選考フローや面接方法だけではない
採用プロセスとは、採用に関わる候補者が進む工程のことを意味しています。求職者も採用を始める企業も「会社について知る、理解する」ところから始まります。
- どのように自社を知り、何に興味を持って応募してくれたのか?
- 何をどう検討して、内定承諾まで進んでいくのか、そしてどのように活躍してもらえるのか?
これらを採用プロセスと呼びます。
これにはテンプレートは存在しません。各企業ごとにオリジナルで検討すべきことです。そして各項目ごとに課題を考え、改善のために設計していきます。
実際に実施していく上で効率的かどうかも考えながら計画していきましょう!
採用プロセスとは「会社のファンを増やすこと」
応募数や採用数を増やしたいから採用プロセスを見直す企業様も多いのですが、本質はそうではないと思われます。実は、採用も集客も企業のファンが増えなければやっていけないのです。
では、採用プロセスはどのように考えていけば良いのでしょうか?
前述したように、採用プロセスの始まりは会社を知ることです。業務内容などは置いておいて、まずは会社を知ってもらい会社のファンを増やせなければ始まりません。
採用プロセスを構成する6工程
採用プロセスは大きく分けて6工程あります。
- 認知
- 興味・検討
- エントリー
- 選考
- 検討
- 採用〜定着
それぞれの詳細は後述いたしますが、AIDMAの法則やAISASの法則の流れに似ています。
AIDMAは、マーケティングで活用される用語で、注目・認知(Attention)し、興味(Interest)を持ち、
知りたい(Desire)を思い、記憶(Memory)し、行動(Action)するという意味の略語です。
採用に関しては、AISASの法則を用いる場合が増えてきました。AISASは、注目・認知(Attention)し、興味(Interest)を持ち、検索(Search)し、ブックマークや応募(Action)し、情報共有(Share)するまでを表します。
会社のファンが増えれば、良い情報が拡散され、より注目されるという良い循環が生まれるのです。
今の採用フロー、選考フローを見直す
項目が多い分、いきなり全てを設計し、導入というのは難しいと思います。今の選考フローを再度確認し、課題をまずは洗い出してから優先順位をつけて導入していきましょう。
例えば、「応募は来るのに採用できない」という課題があるなら、採用できない理由を考えていきます。採用要件に達していないのか、辞退が多いのか、現状を深掘りして、設計内容と取るべき対策を見極める必要があります。
「求人広告の原稿、内容をひたすら考えるだけ」では採用はできない
求職者が仕事を探すときに「何を調べているのか」を知るべき
これだけネットが普及した時代、求職者の周りには情報があふれています。お伝えしたいのは、求人広告だけが全てではなくなった。ということです。
ホームページ、口コミサイト、SNSといったあらゆるページから求職者は情報を収集します。だからこそ「求人情報を更新すれば終わり」では採用できなくなっているのです。ありのままの会社の姿を見られているという前提のもと、期間も決めた上で「設計・戦略」が必要です。
求人広告の内容改善は手法であり、小手先でしかないのです。求職者が知りたいことを知って情報量と質で戦わなくてはなりません。
本当の意味で活躍してくれる人を採用する方法
ありのままの会社の姿には、良い部分も悪い部分もあると思います。その悪い部分すら出すべき情報なです。課題に感じている部分をどのように改善していくのか、その姿勢が大事であり、そこに会社の色や人間臭さが滲みてマッチングの高い人材が採用できるのです。
「条件を良くする」「業務内容を詳しく記載する」といった、求人情報は追加情報でしかありません。根本的な「この会社で働ける」という魅力を感じてもらうための情報開示が必要です。
採用活動を活かして会社のファンをどう増やすかを一番考えるべき!
アメリカで課題になっている「不合格者による不買行動」
会社の選考に落ちたからもうその会社の商品を買わない、といったヘイト行動の問題をご存知でしょうか?日本でも選考に落ちたからSNSで悪い情報を拡散する、商品を批判するといった行動も起きているのもが事実です。
悪い情報を拡散されれば、選考を受けている他の候補者だけでなく、これから数年後検討してくれる求職者にも影響します。それだけでなく、商品が売れなくなり売上が下がるといった存続に関わる問題にまで発展するのです。
ファンが増えると、自ずと会社が変わる
だからこそ、選考を通して会社に接点を持った人全員に合否がどうであれ、ファンで居続けてもらうことが何より重要であり、そのために採用プロセス設計の見直しが必要です。
「採用するために」ではありません。
会社を好きになってもらう、会社のファンになってもらうためにどうしたらいいか?を軸にして設計していきます。そうすれば、ファンが増えていき、自ずと働きたいと手を挙げてくれる人たちが増えていきます。
そんな前向きな組織で働けることが誇りになり、より人は集まりやすくなります。更に言えば良い情報が広まり、売上拡大にも影響していきます。
全体を通して「求職者&顧客ファースト」を考えた採用プロセスを設計する
それではいよいよ採用プロセスの項目ごとに順を追って設計していきましょう。
①認知拡大:企業の第一印象を考え、デザインしよう
それではいよいよ採用プロセスの項目ごとに順を追って設計していきましょう。
タイトルのCXとは、カスタマーエクスペリエンスの略語です。顧客志向を考えて購買行動にどうつなげるかを分析するマーケティング用語です。採用プロセスにおいて、CXは非常に大事で、求職者がどのように興味を持つのか、どこから会社を知り、どんな印象を持つのかを把握・分析することから全てが始まります。
認知は第一印象のようなものです。第一印象を良くすれば、次の興味・検討への可能性を大きく広げられます。もし、企業ブランディングの方向性が分からない、どう方今転換すれば良いか分からなかった場合は他社の採用プロセスを一通り検索して見ると良いでしょう。
②興味を惹く、検討率を上げる:会社の情報発信量を増やそう
第一印象が良ければ、もっと知りたいと思いませんか?
どんな会社なのか、どんな人たちがいるのか、より詳しく調べるフェーズに入ります。会社、チーム、ビジョンなど、業務内容だけでなく会社や組織をよく知ってもらい応募意欲を形成することが大事です。そしてこの興味を持ってくれる求職者が増えれば、タレントプールの形成に繋がり、採用成功率の向上につながります。
ココでのポイントは新卒採用なのか、転職組の採用なのか、第二新卒採用、中途採用(未経験者、経験者)かどうかも見極めて、採用ターゲットが求めて良そうなワークライフを想像した上で採用プロセスを改善することです。求職者にとことんメリットを伝えられるように情報提供しましょう!
③エントリーさせる:一緒に働く人の想いを伝えよう
「この会社で働きたい」そう思ってもらうことが、何よりも重要です。
営業職を考えてみたとき、営業職なんて職種は世の中に溢れています。似た商材を取り扱うことも少なくないでしょう。
それよりも「誰と、どんなチームで、どんなミッションのもとで営業するのか」の方が大事なのです。
この会社、このチームならではの魅力が伝わる設計にしましょう。そんな思いを持って応募してもらえたならいよいよ求職者が候補者になるタイミングです。
④書類選考、面接でフィッテング:求職者と企業が本音で向き合おう
ここから重要なのは、擦り合わせと愛を伝えることです。
面接で大事なのは、求職者の選定ではありません。一緒に働くことが双方にとって最良かどうかの擦り合わせ一番重要です。会社が目指したい方向に同じ温度感で進んでくれるのか、同じ熱意を持てるのか、求職者がイメージする働き方が実現できるのか、この擦り合わせが重要なのです。
そして会社としてぜひ一緒に働きたいと思った場合には、できる限りの愛を伝えることが重要です。
決まり切ったオファーメールではなく、なぜあなたなのか、なぜ一緒に働きたいのか、などを
盛大に伝えましょう。愛が伝わるかどうかは伝え方次第です。
ご縁がなく、お見送りになる場合もあると思います。その場合は、その人に何か欠けているわけではなく、考え方や望む働き方ができないなど、その人にとって良い結果にならないからである。ときちんと伝えましょう。
会社のファンを増やすために一番気をつけたい、一番デリケートな部分です。良い面接ができていれば、候補者も「あ、この会社は違うかもしれない」と気づきます。そのためにどれだけ真摯に擦り合わせられるか、が重要です。
⑤入社を前向きに検討させよう:内定後のフォローにも気配りを
あなたが内定を出すほど優秀な人です。他社からも内定が出ている可能性は大いにあります。だからこそ内定を出して終わり、ではなく、入社までのフォローアップが重要です。
小まめに連絡を取り、入社までに不安を取り除いたり、馴染みやすいような工夫をしましょう。また、ここでうまく接点が持てれば、入社後の戦力化を早められるといったメリットもあります。
⑥採用〜定着:思う存分、活躍してもらうための体制を考えておこう
いよいよ入社のフェーズです。活躍しやすい環境や受け入れ態勢は整っていますか?入社後のギャップはないかなど、定着を意識して入社から半年ほどは細やかなフォローを行いましょう。
「入社してよかった」と思ってもらえる組織づくりを意識して設計していきましょう。
会社の経営も採用も良くしていきたい方は採用プロセスを再設計すべし!
採用プロセスは早く見直して、改善を回していきましょう。
欠員が出たから求人広告を掲載して採用する。という方法では難しくなっています。
だからこそ、採用プロセスの設計し直し、一緒に働きたいと思ってもらえる組織づくりが必要です。
そして会社のファンを増やしてより良いサイクルを回していきましょう。