
「なかなか求める人材が集まらない…」
「積極的にU・Iターン採用をしたい」
このように考えている地方企業の方は多いです。進学や就職のタイミングで地方を出て上京する若者が多く、人材の流出を簡単に止めることはできません。
しかし、地方で就職したいと考える層が一定数いるのも事実で、そういった人たちに情報を届ける工夫をしていく必要があります。
今回は、地方企業が抱える採用課題と解決策、おすすめの採用方法や注意点について解説します。
この記事はこんな人にオススメです!
・地方企業で採用を強化したい人
・地方企業でU・Iターン採用をしたい人
・地方企業で、求める人材からの応募が来なくて悩んでいる人
目次
地方採用の現状

まず、地方採用の課題を知るために地方採用における現状を把握しましょう。
国道交通省の「地方における人口・労働力の変化」によると、地方圏の労働力人口は2050年までに約40%減少するといわれています。東京圏や全国を見ても、約35~40%ほど減少すると見込まれているため、地方だけでなく全国で労働力人口が不足すると予想されます。
また、東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏への人口流入、特に東京圏への流入は顕著で東京一極集中ともいわれています。
国土交通省の「東京一極集中の是正方策について」によると、東京圏への転入超過数の大半を10代後半、20代の若者が占めているとされています。進学や就職をきっかけに東京圏へ転入するケースが多いと考えられ、若い世代に地方企業で働く魅力を伝えていかなければ、今後も採用は厳しさを増すと予想されるのが現状です。
地方の採用課題とは?

採用課題は会社によって異なるものです。
そのため、必ずしもこれ!とは言い切れないですが、地方企業における採用課題は一般的に以下のものが多く挙げられます。
- 「地元で働きたい」と考える人だけに焦点を絞りすぎ
- 求人数が少なく、仕事を選べない
- 情報発信不足でそもそも知られていない
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
「地元で働きたい」と考える人だけに焦点を絞りすぎ
地方の採用課題のうちのひとつに、採用ターゲットを「高校や専門学校、大学などを卒業後、地元に残って仕事をしたい」や、「進学で一度は地元以外に出たけど、地元に戻って仕事がしたい」などの「地元で働きたいと思っている人」だけに絞り過ぎていることが挙げられます。
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が行った、移住等の増加に向けた広報戦略の立案・実施のための調査事業報告書によると、東京圏出身者(20~59歳)の45.9%が「地方暮らし」に関心があると答えており、東京圏在住者(20~59歳)の49.8%が「地方暮らし」に関心を持っていると答えています。また、地方圏出身者で地方暮らしに関心がある人の割合は61.7%となっており、東京圏出身者よりも15.8%も多いことが分かっています。
この調査から、東京圏出身の人や、地元で働きたいと思っている人以外の地方で働きたいと思っている人が多いことがわかります。つまり、「その土地で生まれ育ち、地元で働きたい層」以外にも、その土地出身でなくても地方暮らしをしたいと考えている層もいるということ。そのため、「地元で働きたい層」以外にも東京圏出身者や東京圏在住者、その土地以外の出身者などターゲットを狭めずに、採用をしている旨を伝えていかなければもったいないのです。
企業数が少なく、仕事を選べない
地方は、東京圏と比較すると企業数が少なく、仕事が選びにくいもの。
国土交通省の「東京圏流入者が移住することを選択した背景となった地元の事情」によると、地元に残らずに移住することを選択した背景となった事情についてアンケートをとったところ、以下の回答数が多くなっています。
- 希望する職種の仕事が見つからないこと(全体:約26% 男性:約28% 女性:約23%)
- 賃金等の待遇が良い仕事が見つからないこと(全体:約19% 男性:約23% 女性:約16%)
- 自分の能力を生かせる仕事が見つからないこと(全体:約15% 男性:約18% 女性:約12%)
つまり、東京圏へ転出した人の地元を出る決断をした理由の多くが「仕事に関係するもの」ということになります。
地方での仕事は第一次産業、第二次産業に関する業種が多く、それに付随したドライバー求人、工業内での製造業が多いです。反対にIT企業などの第三次産業が少ないケースが多くなっています。
「地方で働きたい」、「地方に移住したい」など思っても、仕事がネックとなって地方での暮らしを断念する人は多いです。
情報発信不足でそもそも知られていない
情報発信をしていない、地方でも広告をほとんど出していない、有名企業ではない、などさまざまな理由から、そもそも企業の認知度が低いことが地方の採用課題として挙げられます。
国土交通省出典資料の「地方における就労機会の確保について」によると、UIJターンに必要な就職先の情報等が不足していて、UターンやIターンを実現するためには地元企業の認知度が重要と述べられています。
知られていなければ当然、就職先の候補になることはありません。規模の大小や東京圏・地方圏など関係なく、認知してもらうための情報発信は必要です。
地方の採用課題の解決策3つ

地方の採用課題の解決策は3つあります。
- 自社の採用課題をはっきりさせる
- 住んだことがない人にもイメージしやすい採用広報活動を行う
- 魅力的な求人原稿を書く
自社の採用課題をはっきりさせる
自社の採用に関する課題がどこにあるのかをはっきりとさせることが解決への糸口になります。「募集を出しても応募がない」という漠然としたことを課題とするのではなく、もっと掘り下げ、「なぜ」募集を出しても応募がないのかを探っていきましょう。
例えば、課題には以下のようなものがあります。
- 社員が自社の魅力を分かっていない
- 採用をハローワークに任せきりにしている
- 採用したい人物像やターゲットなどがはっきりしていない
- 就職、転職市場について研究不足である
- 自社の採用に使える予算が少なく、やりたい施策を行いにくい
- 自社の認知度が低いため募集を出しても見られず、応募に繋がっていない
採用のフェーズにおいて、どこに課題があるのかをはっきりさせることが解決への近道になるので、細かい部分まで明確にすることが大切です。
住んだことがない人にもイメージしやすい採用広報活動を行う
地元出身者以外の層もターゲットとして検討するのであれば、住んだことがない人でも自分が実際に暮らしている姿をイメージしやすくなるような発信を行いましょう。
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の移住等の増加に向けた広報戦略の立案・実施のための調査事業 報告書によると、地方での暮らしに関心のある層が発信して欲しい情報のトップ2は、「仕事、就職に関する情報」が60.3%、「住居、住宅購入に関する情報」が58.3%となっています。
移住先で期待するライフスタイル、移住先で実現したいことは「自分に合った生活スタイルを送ること」が 43.1%と最も高く、次いで「スローライフを実現すること」が 39.3%となっています。
例えば、SNSを活用して会社周辺にある地元のスーパーや飲食店を紹介する、地域の公園でのんびりできる様子を伝える、移住するのに最適な物件など、社内で協力して発信していくことで「人」と「地域」の両方の魅力を伝えられるコンテンツにもなります。
実際の例として、長野県に本社と醸造所を置くビールの会社「ヤッホーブルーイング」の採用サイトでは、長野での暮らしや地域の紹介をしています。
仕事や職場に関することを発信するのはもちろん、地方企業においては、その土地での暮らしや生活の魅力についても合わせて発信する意識を持つと、U・Iターン就職希望者の背中を押せるでしょう。
魅力的な求人原稿を書く
自社の魅力が伝わるような求人原稿を書きましょう。
求人原稿は、求職者にとって働きたいかどうかを判断する重要な要素になります。
求人原稿を書く際の3ステップは以下のとおりです。
- 採用ターゲットを設定する
- ペルソナを設定する
- 採用ターゲットとペルソナに刺さる自社の強烈訴求ポイントを洗い出す
採用ターゲットとペルソナの設定をして、応募してほしい人材をはっきりさせたら、その人たちが「この会社で働きたい」と思うような自社の訴求ポイントを洗い出しましょう。
魅力的な求人原稿の書き方は、こちらで資料が無料ダウンロードできるので参考にしてみてください。
地方採用におすすめの方法

採用したいターゲットの人物像や職種、自社の採用課題に合った採用手法を取り入れることが大切です。
ここでは、地方採用におすすめの採用方法を3つ紹介します。
- 代理店を活用する
- 求人検索エンジンを活用する
- ハローワークを活用する
代理店を利用する
求人媒体に求人情報を掲載して応募者を集める手法は、採用手法では王道です。
数多くの求人媒体があるため、どの求人媒体を選ぶのかによっても採用結果は大きく変わります。媒体の選定を行うには時間もかかり、なおかつ選定の失敗をしてしまうことも考えられます。そうならないためには、複数の求人媒体を扱っている総合求人広告代理店を利用するのがおすすめです。数ある中から自社に合った媒体を選定してくれます。
代理店によっては、地方企業が使えるキャンペーンを実施している場合も。ホームページでチェックしてみましょう。
求人検索エンジンを活用する
Web上に掲載されている求人情報がヒットする求人検索エンジン。これを活用することで、採用のチャンスが格段にアップします。
求人検索エンジンは例えば、Indeedや求人ボックス、careerjetやスタンバイなどが有名です。求人検索エンジンは無料で利用でき、幅広い層にアプローチができるので求人の露出も増えます。
▼求人検索エンジンの効果的な活用方法について詳しく知りたい方はこちらも合わせてご覧ください。
求人検索エンジンとは?主要5つの特徴から効果的な使い方まで解説
ハローワークを活用する
地方の求職者は、相談員に直接相談ができるのでハローワークを活用する人も多いため、活用しない手はありません。
ハローワークでは24時間いつでもどこでもインターネットで求人検索ができるので、今まだその地方に住んでいなくても気になる求人があれば移住を検討する層もいるでしょう。
ハローワークの求人票は2020年1月からフォーマットが変わり、より詳細に情報量多く記載できるようになりました。情報が細かく記載してある求人票は「話を聞いてみよう」という気持ちになりやすいですし、会社に対してポジティブなイメージも持ちやすいです。
丁寧な求人票の作成で求職者の目に留まるようにしましょう。
▼「まだハローワークを活用したことがなくて求人票の出し方も書き方も分からない…」そんな方は以下の記事も合わせてご覧ください。
ハローワークの求人票の出し方と効果的な書き方【応募が増える5つのコツ】
また、ハローワークの効果的な求人票の書き方についての無料資料ダウンロードはこちらからどうぞ。
地方採用を成功させるためのポイント

地方採用における以下の2つの注意点をおさえておきましょう。
- オンラインでの採用を強化する
- 地方就職を考える人の特徴を理解する
オンラインでの採用を強化する
U・I・Jターンなど、自社の所在地近辺でない遠方に住む求職者は、説明会や面接のたびに会社へ出向くのは一苦労です。そのため、オンライン説明会やオンラインでの面接など、オンラインを活用した採用を強化することで求職者の負担を減らせます。
実際の社内の雰囲気を感じ取ってもらえないため、求職者にとって情報が少なく不安に繋がることも想定されます。そのため、社内の雰囲気が分かるような発信をする、企業紹介や社員インタビューなどの動画を制作するなど、オンライン採用の不安要素を少しでも取り除く工夫をしていきましょう。
地方就職を考える人の特徴を理解する
地方での就職を考える人は、どのようなことを考えて「地方就職をしたい」と思ったのかを考えることが必要です。
例えば、
- 子育ては地方の静かなところでしたいから地方で転職がしたい
- 家賃や食費などの生活費を下げたいから地方へ移住がしたい
- 自分の持つスキルで地方でのんびり暮らしながら仕事がしたい
など、人それぞれ地方で働きたいと考えるきっかけや理由は異なるでしょう。
そのことを理解しなければ、自社で求める人材との齟齬が生まれたり、訴求ポイントがずれたりと、採用がうまくいきません。
採用したいターゲットの人物像を考える際に、「なぜ地方で就職をしたいと思ったのか」まで考えることが大切です。
まとめ:積極的な情報発信で地方企業で働く魅力を伝えよう
地方企業では、労働人口の減少や東京圏への一極集中などによって厳しい状況となっています。
地方企業における採用課題で多いものは主に以下の3つです。
- 「地元で働きたい」と考える人だけに焦点を絞りすぎ
- 求人数が少なく、仕事を選べない
- 情報発信不足でそもそも知られていない
これらの地方の採用課題を解決するためには、以下の3つを行っていかなければなりません。
- 自社の採用課題をはっきりさせる
- その土地に住んだことがない人も、その土地での暮らしをイメージしやすくなるような採用広報活動を行う
- 魅力的な求人原稿を書く
地方での採用手法におすすめな代理店、求人検索エンジン、ハローワークも活用していきましょう。
地方で働くメリットや、自社で働く魅力など、地方で働きたいと考えている人それぞれの思考について考えを巡らせて、訴求していくことが大切です。また、地方に就職したい人は遠方に住んでいる可能性もあります。オンラインを活用して積極的な情報発信を行い、求職者の負担や不安を減らしていきましょう。
「採用広報記事を書くのが難しい…」
そのような場合にはぜひ一度こちらからお気軽にお問い合わせください。