【2022年の地域別最低賃金】またも過去最大の引き上げ。内容から注意点まで解説

毎年見直され、10月に発表される最低賃金ですが2022年の引き上げ額は昨年を上回る金額となりました。企業側は最低賃金の引き上げ内容をしっかりと把握し、現状の見直しなど然るべき対策を進めましょう。

この記事では、2022年の最低賃金引き上げの詳細から、最低賃金が引き上がることによる企業への影響、注意点について解説します。

2022年の地域別最低賃金の引き上げの内容 

都道府県名
()内はランク
最低賃金時間額
(改定前→改訂後)
引き上げ額発行年月日
北海道(C)889→92031令和4年10月2日
青 森(D)822→85331令和4年10月5日
岩 手(D)821→85433令和4年10月20日
宮 城(C)853→88330令和4年10月1日
秋 田(D)822→85331令和4年10月1日
山 形(D)822→85432令和4年10月6日
福 島(D)828→85830令和4年10月6日
茨 城(B)879→91132令和4年10月1日
栃 木(B)882→91331令和4年10月1日
群 馬(C)865→89530令和4年10月8日
埼 玉(A)956→98731令和4年10月1日
千 葉(A)953→98431令和4年10月1日
東 京(A)1041→107231令和4年10月1日
神奈川(A)1040→107131令和4年10月1日
新 潟(C)859→89031令和4年10月1日
富 山(B)877→90831令和4年10月1日
石 川(C)861→89130令和4年10月8日
福 井(C)858→88830令和4年10月2日
山 梨(B)866→89832令和4年10月20日
長 野(B)877→90831令和4年10月1日
岐 阜(C)880→91030令和4年10月1日
静 岡(B)913→94431令和4年10月5日
愛 知(A)955→98631令和4年10月1日
三 重(B)902→93331令和4年10月1日
滋 賀(B)896→92731令和4年10月6日
京 都(B)937→96831令和4年10月9日
大 阪(A)992→102331令和4年10月1日
兵 庫(B)928→96032令和4年10月1日
奈 良(C)866→89630令和4年10月1日
和歌山(C)859→88930令和4年10月1日
鳥 取(D)821→85433令和4年10月6日
島 根(D)824→85733令和4年10月5日
岡 山(C)862→89230令和4年10月1日
広 島(B)899→93031令和4年10月1日
山 口(C)857→88831令和4年10月13日
徳 島(C)824→85531令和4年10月6日
香 川(C)848→87830令和4年10月1日
愛 媛(D)821→85332令和4年10月5日
高 知(D)820→85333令和4年10月9日
福 岡(C)870→90030令和4年10月8日
佐 賀(D)821→85332令和4年10月2日
長 崎(D)821→85332令和4年10月8日
熊 本(D)821→85332令和4年10月1日
大 分(D)822→85432令和4年10月5日
宮 崎(D)821→85332令和4年10月6日
鹿児島(D)821→85332令和4年10月6日
沖 縄(D)820→85333令和4年10月6日
全国加重平均額930→96131
出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

最低賃金は全国一律ではなく、各都道府県ごとの経済実態に応じてA~Dまでのランク付けがされ、ランクごとに最低賃金の引き上げ額が決まります。例えば東京、神奈川、愛知、大阪はAランク、栃木、静岡、京都はBランク、北海道、新潟、福岡はCランク、青森、愛媛、沖縄はDランクのようになっています。

今年は、47都道府県で、30円〜33円の引き上げとなっており、30円は11県、31円は20都道府県、32円は11県、33円は5県。今年、最低賃金が最大額の33円アップしている都道府県は、いずれもDランクの県です。

また、昨年の全国平均は930円でしたが、今年の全国平均は31円アップの961円になります。全国加重平均額31円の引き上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となりました。

参考:令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について

最低賃金の引き上げによる企業への影響

最低賃金が引き上げられることによる企業への影響は多大です。人件費が増えるだけでなく、賃金が上がる人と上がらない人が出ることによってモチベーションの低下を招くことも考えられます。ただ、見方を変えれば、人件費以外で削減すべきコストを見直すきっかけができるといった良い改善につなげることもできるでしょう。

今後も最低賃金の引き上げは続いていく可能性は高いため、最低賃金の改定で一喜一憂しないことが望ましいです。もし頭を悩ますことが多いのであれば、それは今、自社にとって解決すべき課題があるということ。根本的な見直しをしていかなければなりません。

最低賃金の引き上げの際の注意点と対策

最低賃金の引き上げの際に注意すべき点は以下の3つです。

  • 過去の求人原稿を再度使う場合は最低賃金を確認しなければならない
  • 正社員やパートなどの雇用形態に関係なくすべての労働者が対象になる
  • 試用期間中や出来高払いも対象になる

求人を出す際に、過去に出した求人原稿を再度使う場合があります。その際に、雇用形態や試用期間など問わず、必ずすべての労働者の最低賃金を確認しましょう。過去の求人だと、最低賃金を下回っている可能性があるからです。

中小企業6,007社を対象に、2022年2月7日~28日に行われた日本商工会議所の「最低賃金引き上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」によると、2021年10月の最低賃金引き上げ(全国加重平均28円(902円→930円))を受け、最低賃金を下回ったため賃金を引き上げた企業の割合は40.3%となっています。そのため、過去最大の引き上げ金額となった昨年を超える引き上げ金額になる今年は、昨年以上に最低賃金を引き上げなければならない企業が増えるかもしれません。

特に2021年10月以前の求人を再活用する場合には、大幅に最低賃金を引き上げなければならない可能性があるため注意しましょう。

また、本当の意味で気をつけなければならないのが、採用数や求職者からの問い合わせ数の減少です。条件面のみで採用活動をしていると、必要な人材確保は益々厳しくなることが予想されます。業種、規模に関わらず、給与面以外にもしっかりと自社の魅力を伝えなくてはなりません。

新卒採用のダイレクトリクルーティングサイト「OfferBox」を運営するi-plugの2021年卒の学生を対象に行った「企業の魅力と働き方に関する調査」によると、「どのような企業に魅力を感じるか」の質問に対しての回答は4年連続で1位が「社内の雰囲気が良い」だといいます。2位は「成長できる環境がある」となっています。

出典:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2004/03/news077.html

優秀な人材や若手人材の獲得競争率は高いので、どの企業も、少しでも自社の魅力を伝えるためにさまざまな手法を試しています。自社のオウンドメディアを活用した採用広報、SNSによる情報発信など、条件面では伝えきれない魅力をアウトプットしている例が増えているのはそのためです。

まだ本格的に取り組んだことがない企業は、“条件面以外の自社の魅力を伝える”ため、始めてみてはいかがでしょうか。

▼採用広報について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

【目的別の具体例付き】採用広報の戦略・企画の立て方について解説

また、その他の対策としては、設備投資を見直す、残業時間を抑制するなどで企業の支出を減らすことや、生産性を向上させて業務改善を施すなどの方法があります。厚生労働省では、生産性向上とともに賃金の引き上げに取り組む中小企業・小規模事業者向けに「業務改善助成金」を用意しています。気になった方は以下のリンクから概要をご覧ください。

まとめ 

最低賃金制度は毎年見直され、働く人すべてに適用されるもの。企業側は、最低賃金を下回った金額で雇用をしていないか、毎年チェックしていることだと思います。

最低賃金の引き上げに伴い、人件費は増加します。そのため、経費が削減できる部分がないかの見直しや、新しい人材確保のためにも給与以外の自社の魅力や強みを伝えていくことが重要です。

最低賃金の改定を自社の体制を見直す良いきっかけとし、より良い組織にステップアップする原動力に変えていきましょう。

厚生労働省の最低賃金特設サイトに、各都道府県ごとの最低賃金やよくある質問などが掲載されているので、こちらもご覧ください。

さっちゃん

フリーランスのライター。
noteやSEO、メルマガ、企業アカウントの中の人など幅広い媒体、ジャンルで企画立案から執筆まで行う。地域おこし、SNSマーケティング、不動産をメインジャンルに執筆する。趣味はうまいビールを飲むこと。

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