債権差押通知(給与差押)は突然に?!人事や経営者が知っておくべき対処法

こんにちは、現役上場企業人事/社会保険労務士 助太刀屋のりょうたです。

いきなりですが……ある日突然、従業員の給与を差し押さえる「債権差押通知」が会社に届いたことはありませんか?

世の「人事トラブルあるある」の1つに、従業員の給与差押通知書がいきなり会社宛に届くことがあります。従業員数を多く抱える会社やイケイケベンチャー企業、営業マンにインセンティブを設けていて毎月の給与が大きくハネる会社などでよく見られます。

自身の経験からも色々なケースを見てきましたが、若くして多くのお金を得ている人やインセンティブなど瞬間風速で月額給与がハネた時などに、気を良くして夜の街や飲み代、高額な買い物(車、時計、ブランド品など)に消えちゃうことって人間の行動としてはよくありますよね?!

そこまではいいのですが、その後の返済が遅滞してしまう、または消費者金融から借り入れなどをしてしまい状況が悪化すると、自身の給与について差押が迫るというものです。

今回はそんな債権差押通知について、ふれていきたいと思います。

【筆者】りょうた / 社会保険労務士(インビジョン株式会社の助太刀屋)
現役の上場企業人事/社会保険労務士 企業内・外の視点を持ち合わせ、労務管理を常に会社目線で考え最適解を導き出し、労働法令を超攻撃的に使うことを得意とする。 「上場企業人事×社会保険労務士×IPO経験者×特例子会社代表取締役×リストラコンサルタント」という5つの顔を持ちながら、 株式会社Scrap&Buildの代表取締役も務め、執筆の他、企業顧問、研修講師、IPOコンサル、リストラなど最前線で活動中。

この記事はこんな人にオススメです!
・債権差押通知(給与差押)が届いた時にどうすればいいか知りたい
・該当する従業員に対してどのように接するのがいいか知りたい

給与差押の構図について

冒頭お伝えしたような事情があった場合、本人に弁済余力がないものとみなされ、毎月給与が発生している会社に対して「給与差押」の通知が来る仕組みになっています。

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「債権者(消費者金融など)が債務者(従業員)に返済させるために、第三債務者(ここでは会社)に対して「給与」という債権を差押に来る」という図式になります。

給与差押の通知が届いたら?!よくあるQ&A

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今回は人事担当者からよく受ける内容をもとに、差押の金額だけでなく実務に即して少し解説をさせていただきます。

人事担当者から相談を受けるものは、下記のようなものです。

『会社に債権差押命令が届き、従業員の給与から4分の1を差押予定です。従業員へこの件を通知する際、こちら側で気を付けなければいけない点はありますか?』

給与差押の確認手順と対応

このような場合、すぐに差押金額や法律の確認をする前に、実務においてまずはやるべきこと、できることを確認することが大切です。まだ人事経験が浅い場合など、どうしていいかわからないことも多いので下記のような対応をしてあげると状況確認とともに具体策が見えてくることもあります。

まず、本人に対して内容や返済状況などの確認をすることが重要です。本人に一定の資力があり、差押前に返済をすれば給与にまで手をつけなくても良い場合があります。

返済の可否に関わらず、一旦しかるべき方(一般的には所属長か、人事同席にて対応するケースが多いです)が状況のヒアリングを実施していただくことが望ましいです。何ら返せる見込みがないなどの場合は、事情を説明したうえで法的な手続きのため、差押命令に基づいて返済までは会社側で管理をしていく流れとなります。

よくあるケースですが、A社の消費者金融から借り入れていて「そこだけですか?」と聞くと「そうです」と一旦はいうものの、よくよく追及するとB社、C社からも同様に借り入れているケースもあるので正直ベースで確認を取ることをお勧めいたします。(圧力にならないような確認方法によることは申し上げるまでありませんのでご注意ください)

資力があって返済可能な場合は、できればすぐに日程と返済額を決めて対応をしてもらい、その振込み履歴などまで確認することを併せて実施します。

返済可能な場合は少し手間にはなりますが、会社から、債権者(消費者金融など)に電話をして、「いついつまでに、本人に必ず返済させます」などを伝えると、確認出来次第ですが差押通知書の取り下げなども応じてくれる場合が多いです。

債権者としても、早期に回収することが目的なので、毎月の給与から返済されるより、すぐに回収できるに越したことはありませんよね。

※従業員の資力や借入金額などによっては難しいケースもありますので、あくまでも1つの方法としてお考えください。

給与差押の金額の計算方法

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上記のような対応でも解決が図られず給与の差押を免れない場合には、通常の方法で毎月の給与額から一定額の差押を進めていくこととなります。(ここでは複雑な事由に該当する場合は除くこととします)

固定給以外のインセンティブについても一旦は計算に含める形で進めます。差押給与額は、債務者(従業員)保護の見地から、給与額面ではなく通勤手当・社会保険料・所得税・住民税を控除した「実質手取金額」が基準となります。

計算例(各金額は計算しやすいよう置き換えています)

  • 基本給:280,000円
  • インセンティブ:60,000円
  • 給与額面:340,000円
  • 通勤手当:10,000円
  • 各種保険料:30,000円
  • 所得税・住民税:20,000円
  • 控除対象金額:60,000円

実質手取金額280,000円
差押可能額70.000円

そのため、仮に上記項目を除した手取り「実質手取金額」が月額28万円という場合は、1/4にあたる7万円が差押対象額となります。なお、1/4の金額に端数が出た場合は円以下「切り捨て」となります。(差押禁止範囲に食い込まないようにするためです)

なお、インセンティブの対象者などの場合、給与金額が大きくなる可能性もあるので補足ですが、「実質手取金額」が44万円を超過する場合は、手取額から33万円を控除した額が給与差押額となります。(例:実質手取金額が55万円の場合、33万円を控除した22万円が差押となり、1/4とはなりません)

万が一、給与差押が来たときは「初動」が大切!

人事担当者としては、給与の差押などは手間がかかるため出来るだけ回避したい部分だと思いますが、お金の使い方だけは会社側で管理できないため、上記のような場合にはまず出来ることから確認をしていくこととなります。

初動が早ければ、従業員が更なる使い込みや滞納をしなくても返済が早期にできるケースも多々ありますが、一方で長期に渡って滞納期間が続くと社内での不正や横領、従業員間での金銭貸借などに発展し、更なるトラブルを引き起こす可能性があります。

なお、給与差押の通知は法的な手段となっておりますので「会社側の都合でやりたくない」「そんなの関係ない」などは認められません。従業員の手取りが減ってしまって生活が困窮しそう・・・などの理由でくれぐれも満額の支給をしないように気を付けてください。

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